自転車でひとっ走り。パンク修理ができるようになりたい。
予定が変更になって、3時間ほど時間が空いた。
外はとても天気が良いし、4月、5月はいちばん好きな気候だ。
淀川の土手のあたり、気持ちよさそうだな。
パッと自転車で行って帰って来ようか。
ここ2週間はとても忙しかったのでほぼ外に出ておらず、
日光に当たっていない。
本当は忙しいときほどサッと時間を切って散歩やランニングをして
気分転換するべきなのに、仕事を言い訳にしていた。
思い立ったらすぐ走りたくなるもので、自転車のタイヤに空気を入れ、
すぐに出発した。ゆっくり走って片道30分くらい。
淀川に向かう大川沿いの4kmほどある道はずっと桜並木で、
桜の季節は本当に美しい桜のトンネルになる。
今年は花見に行かなかったので間に合わなかったけれど、
まだほんの少し残り香を感じる。
天神祭の花火を見るのに最適な大川沿いの一部が砂浜みたいに
造成されていた。水遊びをする人や、ビーチバレーの試合が行われている。
もう少し上流の方は工業地帯を横切ることもあり、藻が溜まっていたり、
廃棄物や気泡がブクブクしいて進んで水に触れたいと思わないが、
この辺の水はきれいに見える。
いくつかの川が合流して流れが大きくなるから水質も浄化されるのだろうか。
新しく売りに出されるこの辺りの高層マンションはどれもリバーサイドを謳っている。
楽しんでいる人たちもどこか優雅な雰囲気。
こういう場所が近所にあったらいいだろうなあ、と思う。
まあ、そういう再開発されたきれいで優雅な一面と、道を渡ったら大阪最大の
ラブホテル街があり、平気でその間を抜けて犬の散歩やベビーカーを押した家族で
川沿いの公園に来るあたりが、大阪な感じ。
もう少し行くと、今度はバーベキューをしている人がたくさんいる。
この公園、本当は禁止されているんだけれど。トイレや水道もあって、
やりたくなる気持ちはわかるけれど、酔っ払いの馬鹿笑いや焼肉の匂いが充満していて、
爽やかな空気を求めに来た僕には少し、しんどい。
遊歩道は酔ってふらふらスマホを見ながら歩く人、コンロやクーラーボックスを抱えて歩く人、
犬の散歩をする人、ジョギングをする人、ベビーカーを押す人、そして僕のように
ロードバイクで走る人もいて、混沌としていて気をつけて走る。
欧州みたいに歩行者と完全に柵で仕切って別になった、サイクリングロードが
街中にもっとたくさんできたらいいのになあ。
10分も行かないうちに、淀川の土手に到着。水門のところだ。
友人に誘われて自転車を譲ってもらったのはもう10年以上前になるのか。
通勤で大阪から高槻まで毎日走っていた、僕にとって思い出の場所。
いくつか環境の大きな変化があってとても大変だった時期、
淀川に沿ってただ無心で自転車を漕ぐ時間はとても貴重なものだった。
川沿いはいつも風が強く、一旦走り出すとゴーッという風の音しか聞こえない。
そこから約1時間は、無心でただただ、ペダルを漕ぐ。それは瞑想に近い感覚かもしれない。
この水門は行きはゴールで、帰りはスタートだった。
土手に自転車を転がして自分も腰をかけ、一休みする。
煙草をやめてからこういうときは手持ちぶさたに感じる。でも何もしないで
ボーッとするのは久々だ。スマホを見るのも、一応持ってきた文庫本も、
今は何か違う。
釣りをする人、テニスをする人、散歩をする人、サイクリングをする人、
ピクニックに来た家族、キャッチボールをする人、子どもと遊ぶ父親、
ただ立ち止まり、ボーッと川面を眺めている人もいる。
ずっと仕事部屋にこもって作業をしていると、時間の流れが分からなくなる。
ネットやテレビで天気予報やニュースは入って来るので
たとえば万が一にもミサイルが飛んできたら、データをああして、こうして、
という心構えくらいはしていたが(ひとまず回避で本当によかった)
朝も昼も夜もただ漫然と過ぎていき、腹が減ったら食事を作って食べ、
ソファで本を読み、食材が切れたら買いに行き、トイレで小説を読み、
ランニングをしてシャワーを浴び、限界が来て仮眠を取り、目覚ましで起きた
5時はいったい夕方か朝か一瞬分からなくてベランダに出てどちらかを確かめ、
また作業をする。
食うためにもちろん仕事をしているんだけれど、川沿いで楽しむ人たちだって
休日が終わればまた頑張って仕事をするわけで、今の僕にはオンとオフの
メリハリが無い。仕事が朝から夕方できっちり終われないから。
昨年くらいから色々と考えてもっと色んな所に出かけたり遊んだり
新しいことに挑戦したい、
人とふれあって、毎日を楽しみたいと思って色々と考えているけれど、
なかなか。何が一番いい方法なのか、まだ分からない。
とにもかくにも、いい気分転換になった。
晴れた日、久しぶりに実家へ自転車で帰ろうかな。この道を通って。
今となっては懐かしい思い出だけれど、残業で疲れた夜の23時過ぎ、
半分くらい来たところで段差で両輪がパンクして、仕方なくそこから
自転車を押して帰ってことがあって、家に帰り着いたのは朝の4時過ぎだった。
…あれは辛かった。
そのときに絶対にロードタイヤのパンク修理くらいできるように
なろう! とかたく心に誓ったけれど、いまだにできない。
今ココでパンクしたらどうしよう、近くに自転車店はあるかな、と
常におびえながら走っている笑。