笹もって寄り道せずに、まっすぐ帰るべし。十日えびすに行ってきた
「言おうか迷ったんやけど」
マスターが申し訳なさそうに言った。
「えべっさんで福笹もらってきたら、
寄り道したら福を置いてきてしまうから、
まっすぐ帰らんとアカンねんで」
「ま、ウチとしては置いていってもらったら
ありがたいんやけど!」
昨年の十日えびす。大きな青々しい福笹を紙袋に半分だけ突っ込んで
バーで飲んでいたら、帰り際にマスターがこっそり教えてくれた。
…ガ〜ン。
そういえばそんなこと、聞いた事がある!
このバーの前にも焼き鳥食べたし、そもそも毎年えべっさんの帰りは
ちょっぴり奮発して、前から行きたかった店なんかに行くっていうのが恒例になっていた。
ありがたいことに今までコレというトラブルも無く、なんとかかんとかやって来られているので
置いてきた福よりも、もらった福のほうがおつりが出るくらい、大きかったということだろう。
▲一年間お世話になりました。
今年の一月十日の本えびすは平日なので九日の祝日に行くことにした。
成人の日でもあるので相当混んでいることを想定し、人混み対策として滑りのよいダウンジャケット
(ウールとかだと人混みで服同士が引っかかってエライことに)と
地面がぬかるんだり踏まれても大丈夫なようにマウンテンブーツを準備し、
お世話になった昨年の福笹を手に、今宮戎神社へ向かう。
地下鉄の堺筋線で乗り換えると、毎度おなじみ阪急電車のえんじ色の車両がやってきて、
久しぶりに乗ることができて嬉しかった。
冬の阪急電車のシートは妙にほっこり暖かいと感じるのは僕だけだろうか。
恵美須町から高槻市までこれ一本で行けるらしい。
あれはある意味バブルだったのか、あれだけ電車もバスもトイレもエレベーターも信号待ちでも
右も左もとにかく外国人観光客だらけだった大阪の街も、去年から目に見えてその姿が減った。
車で走っていると巨大な観光バスに四方を囲まれて先の信号機の色が
見えないということがよくあったけれど、
街中の観光バスもなんだかんだ、半分以下になった気がする。
それでも観光客なのか住人なのかはわからないが、十日えびすには大勢の家族連れ外国人観光客が
ものめずらしそうに福笹を持ち、フランクフルトやたまごせんべいをパクついていた。
みんなニコニコ楽しそうだ。笹飾りについて、コレハナンデスカ? と福娘に質問している人もいる。
えべっさんは商売繁盛の神さんなので職人や商売人が多く、
初詣と比べてどちらかというと真剣勝負というか、頼むで! といった雰囲気がある。
それにつけて大阪人はせっかちだったりするので、この超絶前後左右押し合いへし合いの人混みに
もまれながら小一時間かけて賽銭場に近づきお参りをするのは苦行か拷問に近いものがある。
入場規制はしているけれど、群集心理は思ってもみない方向へ力が働くことがあり、
あわや将棋倒しになるんじゃないかとひやりとしたこともある。
だけどなにしろ年始の恒例行事なので礼を欠くことはできない。
もし行かなくて、その年に仕事でうまく行かないことがあったら、
きっとそのせいにしてしまう。
殺伐とした雰囲気を知ってか知らずか、「商売繁盛、笹持て来い!」の祭りばやりのかけ声に合わせて
外国人のお父さんの「ササモテコ〜イ」という片言の、陽気な声が。楽しそうで場が和む。
なんだか、ありがとう。と思う。
新年早々心がギスギスしてたら福の神さんもそっぽ向いてしまうよなあ。
▲大きくて立派な福笹をもらいました。
家族連れはどこかで外食して帰る人がほとんどだろうし、子どもたちは縁日が楽しみで来ているのだ。
笹持って寄り道せずまっすぐ帰ることにもそんなにこだわらなくてもいいのかな、と思った。
今年は寄り道せずにまっすぐ帰宅し、笹飾りに差して、無事完了。
▲それにしても今年の笹は大きいなあ!
ありがとうえべっさん。今年もちゃんと聞こえるようにジャンジャン銅鑼をたたいたで!
よろしく頼みます。