カモ井のマスキングテープ「mt」を傘の柄に巻いたら
歴史と伝統のある素晴らしい商品なのに
なんだか時代にそぐわなかったり、
または潜在的なニーズはあるけれど、嗜好品だったり、
きっかけがなくてこのままでは静かに消えていくはずだった
商品やブランドが、グラフィックデザインの力で息を吹き返し、
ヒット商品となったり地域創生の足がかりとなったりするケースを目にすると、
うまくハマったときのデザインの力は本当に強力だし
素晴らしいな、と思う。
そういった商品、媒体をリニューアルして蘇らせるデザインのことを
再生デザイン、またはReデザイン、という。
いわゆる和風デザインが地場産業や地域創生に
一役も二役も買っているケースが多い。
歴史があって、思いっ切り和風な物なのにあえて洋風テイストを
ぶち込んでいるものもカッコイイ。
本来重厚な物に対して和も洋もないのだ。
ただ厳かであれば良い。
黒が定番だった南部鉄器を日本の伝統色でカラフルなバリエーションを造り
ヨーロッパで大ヒットとなったケースや、
今治のタオル、奈良の靴下などもそうだろう。
ちょうど10年くらい前からあちこちで目に付くようになったと感じる。
ネットが普及し、日本全国どこでも仕事ができるようになったことで
東京や大阪、名古屋などで第一線で活躍していたデザイナーやディレクターが
地元に戻り地域のために活動するケースが増えたことも一因かも知れない。
伝統工芸品や包丁、焼き物、陶磁器、布織り製品、
老舗の和菓子や老舗旅館、味噌、醤油、酒造、スキー場や離島観光…。
広告展開やパッケージにおいて優れたグラフィックデザインの力で
リニューアルデザインをはかり、その真の魅力をアピールすることに成功し、
大ヒットとなったケースはたくさんある。
カモ井の「mt」マスキングテープに初めて触れたときもそう思った。
ものすごくセンスが良くて、どんなものでもこれを貼ると
オシャレに変身してしまう「mt」。
普段使いととっておきのを合わせて
十数個持っている。無印良品のシックなえんじやグレー色のテープも好きだけど、
やはり貼って楽しむならこれが一番。
破れたり裂けたりしてしまった何かにとりあえず貼っておくだけで
まるであえて破ったかのように(笑)見えたりする。
デザインチェックやイラストレーションを描くときに
マスキングテープは欠かせないので、
どうせなら気分が楽しくなるお気に入りのテープを使いたい。
カモ井の「mt」は大阪にも営業所はあるようだけど、
いつか岡山の本社工場で行われる見学会に行ってみたい。
と、前置きが長くなってしまったけど、
傘はいつか百貨店で買ったよそ行きの物が1本と、
あとは急な雨のときにコンビニで買って、
いつの間にか無くしてしまったりしてまた必要なときに買う、
いわゆる「コンビニ傘」、そういうものだったけど、
傘の柄に「mt」を巻いてからは、
取られたり間違われたりすることが無くなった。
だから今はコンビニ傘がどんどん増えて、
それはそれで困っている。
飽きたらはがすのだけど、マスキングテープなので
サラッと剥がれてネバネバしないのが、いい。